食サポコラム
飲み込みと義歯の不適合
湘南食サポート歯科事務局の片山です。
湘南食サポート歯科には患者様のベッドサイドでファイバースコープ(内視鏡)を使用して、嚥下機能評価を行うVE検査を行うことが出来る歯科医師が3名おります。
1週間を通してファイバースコープを使用した嚥下機能評価を訪問診療で行える歯科医療機関はまだ神奈川県ではまだ少なく、近隣で開業されている在宅医の先生方から診療情報提供書を頂いて嚥下機能評価や口腔リハビリテーションのご依頼を多く頂戴します。
「飲み込みのご様子が最近悪くて、嚥下状態の検査をお願いいたします」というご依頼を受けて、当院の歯科医師と歯科衛生士が嚥下機能評価を行うために患者様のお住まいを訪問した際に、嚥下機能の低下の原因が義歯の不適合だったというケースがあります。
今回の食サポブログでは、不適合の義歯が嚥下機能に影響を与えてしまっていたケースをご紹介させていただきます。
嚥下障害はその原因によって、次の3つに大きく分けられます。
- 器質的原因
生まれつきや後天的に舌や咽頭、喉頭・食道などにできた腫瘍を除去する手術後や、炎症などで飲み込むときに使う舌やのどの構造そのものが損傷されてしまっている場合。
- 機能的原因
舌や咽頭などの構造物の形には問題が無くても、脳卒中や神経筋疾患、加齢に伴う機能低下、薬の副作用などで、それを動かす神経・筋肉などに原因がある場合。
- 心理的原因
鬱病などに伴う食欲不振など、心理的な原因が関与している場合。
義歯の不適合が嚥下機能に影響を与えてしまっていた患者様のケースは②の機能的原因、具体的にはお口の中の筋力低下が原因でした。
舌は筋肉の塊で嚥下を行う際に重要な役割を果たします。
嚥下の際に、舌は舌の前3分の2が上あごの前方部に密着してゆき、食塊を咽頭に送り込むのと同時に、舌根部が動き下咽頭部を開いて、食塊を咽頭に受け入れる通路を作ることで食べものをスムーズに飲み込むことが出来ます。
この患者様のケースでは、義歯の不適合と筋力低下、そして舌の筋力低下(舌圧低下)が原因で舌をうまく動かせない状態になってしまい、「飲み込もうとするお気持ち」があっても、舌を上あごに密着させることが出来ずに咀嚼した食塊をのどに送り込むことが出来ませんでした。
当初はVE検査を行う予定でこの患者様のお宅を訪問しましたが、このケースでは義歯の調整を行い、嚥下機能を取り戻すことが出来ました。
ご高齢者の嚥下障害には、前述の器質的原因、機能的原因、そして心理的原因の他にも呼吸機能、全身機能や栄養状態などが複合的な要素として絡み合い、専門医による問題に対する正しい評価と介入が必要不可欠です。
ファイバースコープを使用した嚥下評価と義歯の調整、そして歯科訪問診療に対してのお困りごとがありましたら、湘南食サポート歯科まで是非お気軽にご相談ください。
医療法人社団若葉会 湘南食サポート歯科
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