食サポコラム
疾病別口腔ケアを行う際に注意するポイント②
こんにちは。湘南食サポート歯科事務局の片山です。
今週の食サポブログは、疾病別口腔ケアを行う際に注意するポイント①に続いて、疾病をお持ちの方に対する口腔ケアを行う際にご注意いただきたいポイントを疾病別にご紹介させていただきます。
- 肝臓病の患者様
肝炎や肝硬変などを持つ肝疾患の患者様は、肝炎ウイルスのキャリアである可能性が高いので、感染症の有無を確認することが重要です。
肝硬変になると、歯肉からの出血や粘膜下出血が生じやすくなるため、口腔ケアの際に歯肉や粘膜を傷つけないようケアに使用する器具の操作を慎重に行うだけでなく、歯ブラシのヘッドで粘膜を傷つけてしまわないように小児用の歯ブラシなどを使用すると良いでしょう。
肝臓病の患者様は口腔粘膜疾患になりやすいので定期的に口腔ケアを行って、 常に粘膜を健康に保つ必要があります。
- 呼吸器疾患
呼吸器疾患を持つ患者様に口腔ケアを行う際に注意すべき点は、ムセる力が弱い患者様が多いので口腔ケア中の唾液誤嚥や誤嚥には注意が必要です。
酸素吸入を行っている患者様に対しては、口腔ケアを行っている最中にも口腔あるいは鼻腔の近くで酸素を吹き流す、口腔ケア実施時の酸素濃度を上げる等の配慮が重要です。
重度の呼吸器疾患を持つ患者様に対しては、口腔のケア前後のバイタルサイン、SpO2(血中酸素濃度)を確認するだけでなく、口腔ケア中の患者様の姿勢に注意しながら心拍数やSpO2をモニタリングしながら行うと良いでしょう。
- パーキンソン病
パーキンソン病の患者様に対する口腔ケアでは、歯ブラシなどの口腔ケアに使用する器材を改造する工夫など病気の進行程度や症状に合わせた対応が大切となります。嚥下障害や誤嚥はパーキンソン病の進行程度と一致しない場合が多いため、早期からの注意が必要となります。
振戦(震え)やオーラルディスキネジア(口をもぐもぐさせたり、舌を出したり唇を常になめ回したりする不随意運動)があって患者様ご本人が自立して行う場合には歯肉や歯茎を傷めないように柔らかい歯ブラシを選択しましょう。
また、不随意運動は緊張すると強くなることが多いので、リラックスした雰囲気を作って口腔ケアを行うようにすると良いでしょう。
- 認知症の患者様
お口を開けてくださらない、噛みつくなどの行動で口腔のケアを拒否されることが多くあるので、患者様の気持ちや感情を受容しながら対応することが求められます。
大切なのは、強制的な口腔ケアを行わずに、日常介護の中で生活習慣として口腔 ケアの位置付けを行い、無理のない範囲で取り組むことです。
また、自立支援の観点からご自身で行っていただけることはご自身で行っていただきながら、介護に携わる方たちが義歯装着者の場合には義歯の装着の状況や適合状況のチェックと管理などを行い、周辺状況の確認がより重要となります。
疾病をお持ちの方に口腔ケアを行う際、ご注意いただきたいポイントを疾病別にご紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか。
歯科衛生士による専門的な保健衛生指導、そして歯科訪問診療に対してのお困りごとがありましたら、湘南食サポート歯科まで是非お気軽に相談ください。
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